当店では店に置いてない本をお尋ね頂いた時、ネットで検索して他のお店に在庫がないかお探しする様にしている。
これは特にパソコンやインターネットに縁のない方々には喜ばれており、お探しの本が見つかりお取り寄せしてお渡しする時は、こちらが恐縮するほどの感謝のお言葉を頂く事も屢々である。
さて、今日もそうしたお客様がお取り寄せした本を取りに見えられた。
例によって大変にお喜び頂いてお帰りになったのだが、数分後なぜか店に戻ってこられた。
どうしたのかと伺えば、ご一緒されていた友人に嬉しさの余り買ったばかりの本をお見せしようとしたら、本が函から出ないのだと仰る。
成程、確かに日頃店先や即売会の会場でも、函から本を出そうとして四苦八苦、大事な函を壊しやしないかと端から見ていても冷や冷やするお客様をお見かけする事がある。
皆さんもそんなご経験をなさった事が一度ならずおありの筈。
稀には湿気ってしまって本の中身が膨らんでいたり、水を被って表紙と函がくっついていたりで、函から本が出なくなってしまったものもあるにはあるが、大抵の場合は単に函から本を取り出す方法が間違っているだけなのである。
函の寸法が本に対して余裕があれば、どうやってでも普通に本は取り出せるが、中には確かに妙に函がきついものがあるのも事実である。
この様な本に行き当たってしまった場合、多くの方々は本を函から取り出すのに苦労し、挙げ句の果てに函を壊してしまったりもする。
その様な不幸に見舞われないために、またコンディションのいい状態で古本屋に本が還流するためにも(笑)、今日はここに、きつめの函からもスムーズに本を取り出すコツを書き連ねておこうと思う。
多くの、本取り出し下手な方々は、一様に本を函から取り出す時に親指と中指を函に差し込みながら、本の背を摘みつつ本を引っ張り出そうと試みておられるのだろうと思う。
今これを見ているあなたも多分そうでしょう?
この方法では、確かに函と本とのクリアランスに余裕のあるものであれば、普通に取り出す事が可能であろう。
ところが、印刷屋か製本屋が計算ミスをして妙にキッチリと出来上がってしまった不幸な関係の函と本の場合、この方法では函から本を取り出す事に尋常ならざる困難を伴う様になるであろう事は想像に難くない。
何故ならば前述の様に、函の中に親指と人差し指を挿入する方法は、その行為により函の側面を膨らませる事となり、それがひいては函の天地を圧迫する事態を惹起し、ただでさえ寸法に余裕のない函の天地を本に押しつける事となるのである。
こうなると人は更に深々とその指を函に差し入れ、何とか函から本を引き抜こうと汗まみれになるのは必定。
ここまで書けば、賢明なる諸氏はその行為が更なる事態の悪化を招いている事に、既にお気付きの事と思う。
さて、それではこの不幸な関係の函と本を、一体どの様にして分離せしめるのか、その方法は実は至って簡単なのである。
先ずは函の中に差し入れられた指を速やかに撤退させ、本の背を下に向け、両掌で本の天地を軽く挟む様に持ち上げてやろう。
この時注意しなければならないのはただ1点、本はあくまで取り落とさない程度に、軽〜く挟んでおく事だけだ。
後はそのまま本の背が下を向く様にしたまま、下に向かって数回振ってやればよい。
さすればあら不思議、先程まではまるで親の反対を押し切って駆け落ちした男女の如く、固く結ばれて離れなかった本は函から、慣性の法則に従ってスルリと抜け落ちるであろう。
さあ、これであなたの書斎に死蔵され、読みたくても読めなかったあの本のその内容が、ついにたった今いとも簡単に、白日の下へと晒されるのである。
そう、あなたは今これを読みながらも、既にその心は書斎へと向かっているはず。
しかしながらこれを読んでしまったあなたにとっての幸せはこれだけに止まらない事は明白なる事実なのであります。
本日只今よりあなたが街角で、職場で、そして図書館で、本を函から取り出せずに四苦八苦している妙齢のご婦人なんぞを見かけた日にはこれ幸い、涼しい顔で近づきながら「一寸お貸しなさい、そんなやり方では本が可哀想ですよ、良ければ私が出して差し上げましょう。」などといいながらすっと本を取り上げて、さっとその本を函から出してあげる事だって出来るんです。
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